あの頃のゲーム、僕らのGOTY――継続型オンラインゲームが主流化した2014年の個人ベストゲームは?

IGN JAPANスタッフの個人的GOTYを1年ごとに挙げていく連載「あの頃のゲーム、僕らのGOTY」の第32回、2014年編。今週はダニエル、歐陽、千葉、今井、クラベ、野口が当時を振り返る。

『Destiny』は発売時点はさまざまな問題点を抱えていたが、それらがいくつものパッチやアップデートを通して徐々に解消され、ともにゲームのコンテンツ量はどんどん増えていった。ファンのフィードバックに耳を傾け、ゲームを継続的に拡張させていく本作のようなオンラインゲームはまさに、2014年以降のゲームの流れを示している。

ブリザードは『ウォークラフト』シリーズの世界観で展開するトレーディングカードゲーム『Hearthstone』を発売し、大ヒットした。本作は『Shadowverse』を含むオンライントレーディングカードゲームの流れを築いたと言っても過言ではない。

Ubisoftは『ウォッチドッグス』、『アサシン クリード ユニティ』、『ザ クルー』と3作も発売し、EA(バイオウェア)はIGN本家が2014年のGOTYに選んだ『ドラゴンエイジ:インクイジション』を完成させた。もちろん、敵キャラクター同士の関係がリアルタイムで変化する「ネメシスシステム」を導入したワーナー・ブラザースの『シャドウ・オブ・モルドール』も忘れてはならない。

オープンワールドの『METAL GEAR SOLID V』の完成まではまだ少し待たなければならなかったが、コナミはその凄みが凝縮された『METAL GEAR SOLID V: GROUND ZEROES』を発売した。体験版とほとんど変わらないボリュームが有料タイトルとして販売されることを不満に思うユーザーもいたが、そのリプレイ性の高さから絶賛されたことも事実だ。体験版で言えば、コナミはこの年に『P.T』も出している。『P.T』は小島秀夫が送る『サイレントヒル』シリーズ最新作のプレイアブルティザーとなるはずだったが、我々は残念ながら今もこの興味深い体験版で我慢しなければならない。

『GTAV』と『The Last of Us』の現行機向けリマスターを除けば、2014年のメタスコアでは『大乱闘スマッシュブラザーズ for Wii U』がいちばん高い。3DS版も発売し、シリーズが初めて携帯ゲーム機に登場した。同年にはシリーズ最高傑作と言われる『マリオカート8』が発売し、任天堂ファンにとっては「対戦ゲームの年」になった。もちろん、斬新なパズルアドベンチャーゲーム『進め! キノピオ隊長』を除けばの話だが。キノピオが『スーパーマリオブラザーズ』に初登場してから29年、ヤツは主人公として輝いた。

Xboxファンは『Sunset Overdrive』というInsomniac Gamesによるぶっ飛んだTPSで壁を走ったり、電線を滑ったりし、『タイタンフォール』で戦闘ロボットのパイロットになった。要するに、Xbox Oneユーザーにとっては最高の年だった。

インディーシーンでは『ショベルナイト』のようなレトロなアクションゲームがヒットしたり、『ゴートシミュレーター』でヤギになったり、『Mountain』で山の発展を見守ったりなど、奇抜な体験にも事欠かなかった。

千葉芳樹『ザ クルー』

今年リリースされた『ザ クルー2』でガッカリした点はいくつかある。そのひとつがストーリー要素の薄さだ。2014年の『ザ クルー』は運び屋を生業とするギャング「5-10(ファイブ テン)」を軸とした。主人公は5-10に兄殺害の濡れ衣を着させられたアレックスという男で、FBIからの秘密任務として5-10に潜入、その悪事を暴くというのが主なストーリーとなっている。

あなたが「荒唐無稽だ」と言いたい気持ちはわかるし、実際、少なくないレビューで否定された。しかし、レースで組織を勝ち上がり、徐々に本丸に近づいていくのはなかなかいい体験だ。5-10はアメリカ全土に広がっているため、各地のロケーションを楽しめるし、東から順に回って最終的に西海岸にたどり着くのもRPGじみていていい。そう、本作は「全部、車でかたをつけるRPG」なのだ。そして「全部を車で解決する男」の最後に待ち受ける展開もこれまた熱い。新作が出た今、直接的なつながりもほぼない『ザ クルー』のプレイはオススメしづらいが、主人公をサポートするちょっとおかしな面々とともに回ったアメリカが、私にとって今も忘れられないものであるのは間違いない。

今井晋『シャドウ・オブ・モルドール』

オープンワールドで楽しむ残虐な『指輪物語』である本作。ストーリーなどには欠陥があったが、少なくとも「ネメシスシステム」は欠陥に余りある素晴らしいシステムであった。『指輪物語』のオークという敵役を文化人類学的に再構成したこのシステムのおかげで、我々はオークの興味深い生態系を観察することができる。彼らはただのNPCではなく、プレイヤーを覚えて、さまざまな啖呵を切る。本編のストーリーは凡庸だが、ゲームプレイでの彼らの邂逅は特別なもので、まさにオークに恋するゲームであっただろう(もちろん、最後は殺すのだが)。続編も含めて私が『指輪物語』の世界に再び傾倒するきっかけを作ってくれた作品だ。

ダニエル・ロブソン『METAL GEAR SOLID V: GROUND ZEROES』

『METAL GEAR SOLID V: THE PHANTOM PAIN』は小島秀夫が手がけた最後のメタルギアとして歴史にその名を刻んだが、スケールで劣っていても『GROUND ZEROES』だって革新的なゲームだった。非常に作り込まれたフィールドデザインにより、箱庭全体がパズルだったと言える。事前にスクリプトされたイベントであっても、それらはリアルタイムで進行し、いくつもの方法で挑むことができた。ステルスで行くのか、それともアクション全開で行くのかという選択を与えられているのは始まりに過ぎず、ゲームを進める過程で1つ1つ、自分なりの方法で問題を解決しなければならななかった。数時間かけて完璧なステルスでクリアすることもできれば、アクションをマスターした人は一気に押しかけてほんの数分でクリアすることも不可能ではない――かなりの練習は必要になるが。過去作では操作系に混乱することもあったが、Fox Engineとともに開発された『GROUND ZEROES』および『THE PHANTOM PAIN』はゲームシステムやツールが洗練され、スネークの操作がここまでスムーズに感じたのは初めてだった。さらに、情報端末iDroidはさまざまな戦略やコマンドを可能にしてくれた。

カットシーンは従来のシリーズ作品よりずっと少ないが、環境を通したストーリーテリングは秀逸で、『GROUND ZEROES』がどのように『THE PHANTOM PAIN』につながるのか、小島ファンはネットでさまざまな推測を公開した。

『GROUND ZEROES』と『THE PHANTOM PAIN』でより優れたゲームはどちらなのか、今でも議論の余地がある。だが、ゲームプレイの充実度に限って言えば『GROUND ZEROES』は実に恐ろしい作品と言える。

クラベ・エスラ『ショベルナイト』

最近、レトロテイストの横スクロールインディーはまるで大量生産のベルトコンベアに流れてくるほど多くなったが、その中で最も秀逸なゲームは今も『ショベルナイト』だと僕は思う。

ファミコン風のドット絵、2010年代最高峰のチップチューン、そしてタイトなゲームデザイン。あらゆる意味でトップクラスのゲームといえる『ショベルナイト』はKickstarterキャンペーンのバッカーのみならず、多くのゲーマーが愛することとなった。

そのショベルで攻撃ができることはもちろん、『わんぱくダック夢冒険』の杖のように上から突くこともでき、敵や仕掛けはこれを中心にデザインされている。難しいステージの最後にボスが潜んでいるあたりは『ロックマン』と似ているが、残機性の廃止によってストレスは軽減されている。とはいえ、死ぬとゴールドをその場に落とし、次のトライで取り返さなければ失われるので、ソウルシリーズのような死のペナルティも設けられていて、常に緊張感がある。

本作は『スーパーマリオブラザーズ3』を彷彿とさせるワールドマップからステージを選択し、『リンクの冒険』のような横スクロールの村もある。要するに8ビットゲームの「いいとこ取り」だが、ショベルナイトのキャラクターデザインや孤独な世界観を通して、独自のアイデンティティも獲得されており、8ビット騎士も今となってはすっかりインディーゲームを代表するアイコンだ。

野口広志『タイタンフォール』

実際に乗り込め操作できるボトムズじみた無骨な機体「タイタン」、ウォールランをはじめとするパルクール要素を盛り込んだFPS、クラウドサーバーで実現した戦場を彩る豊富なAI、些細な変化であれ常に戦況を報告する指揮官によるライブ感。CoDやBFなどのマルチプレイシューターが好きでタイタンフォールをスルーするゲーマーはいないだろう。

タイタンに乗り込む演出はどれもかっこよく、股下からスライディングしタイタンの手のひらに掬い上げられ搭乗する演出が私は1番好きだ!……さて、タイタンに搭乗すると、ガラっとゲームプレイが変わりタイタン同士の戦いはさながらボトムズやガンダムのような差し合いが楽しめる。鋼鉄の拳で殴られるだけで即死するひ弱なパイロットだが、その機動性を駆使し障害物を利用しながら駆け回り、タイタンに飛び移って爆弾を埋め込んだり、障害物から一瞬だけ身を乗り出しロケランを発射したり、環境にあるものをフルに利用し打ち勝つこともできる。慣れてくれば容易にジャイアントキリングが出来るので脳汁が止まらなくなる。

戦場のあちらこちらに作戦を展開している膨大な数のAIもこのゲームには欠かせない要素だ。AIはプレイヤーの隠れ蓑にもなり彼らに紛れながら移動したりすることで敵の裏をかいたり、シンプルにタイタンを呼ぶためのポイント稼ぎとしてAIを乱獲するのも良いだろう。ただしそうすると敵パイロットに見つかる可能性が上がるリスクが生じる。あとスマートピストルの開発も偉業だ。なぜどこもマネしない!?と思ったら来る『Cyberpunk 2077』でようやくスマートピストルを連想させる銃器を確認できた。スマートピストルとは、約3秒ほど照準をあわせることでレティクル内の複数の敵の頭を自動ロックオンしてくれる強力な武器だ。ロボゲーであるような自動ロックオンからのミサイル乱射系統の武器を想像するといい、いわばそれのハンドガン版である。ピピピピッ バン! ザッ ドシャッ バタッ くぅ~~~~気持ちがいい!!!ちなみに私とタイタンフォールの相性は最高に良く、300時間を超える戦いの中でキルデス比が2.0を越えた記録的大量勝ち星作だ。

歐陽宇亮『天秤のLa DEA。戦女神MEMORIA 』

本作は、ひと言で形容すれば「古き良き正統派18禁美少女RPGの復活」である。90年代までは、美少女ゲームのRPGが多かった。1989年から始まった『Rance』シリーズの多くの作品はRPGだし、1994年の『Wedding Errantry 逆玉王』、1995年の『ロマンスは剣の輝き -THE LAST CRUSADER-』、1996年の『麗獣~Twin Road~』など、数多くの18禁RPGが発売された。1999年の『戦女神』は、同年の『ロマンスは剣の輝きII』と共に、美少女RPGが衰退し始めた頃の代表的な作品だった(なお、より注目された『ロマ剣II』は15禁となり、アダルト要素が後退した)。それ以降の時代は、美少女ゲームにおけるADVの比率が劇的に上昇し、RPGは衰退の一途を辿った。

そして『戦女神』はなんと15年後、RPGどころか美少女ゲームが全体的に没落した2010年代半ばに華やかな返咲きを果たす。名作の多かった90年代では特に目立ったゲームではなかったが、2014年にもなると、リメイク『天秤のLa DEA。戦女神MEMORIA』はもはや聖なる作品である。他の90年代の18禁RPGと同じく、成人向け要素が満載で、子供には見せられないシーンは主人公たちの旅路を通して頻繁に発生する。全年齢対象の媒体に掲載するCGを探すのに苦労する往時の典型的なアダルトRPGである。

「女神の肉体を持つ主人公が力を失い、他人の精気を吸って本来の強さに戻るために性交渉を行わなければならない」という設定も、古典的なほど合理的である。元々長丁場のゲームだが、一本道だった物語はリメイクではマルチエンドとなり、楽しい時間はさらに長くなった。なお、『戦女神』のしっかりした世界観はその後、多くのゲームを生み出し、『戦女神』シリーズ自体も(このリメイクを除いて)2010年の4作目まで続いたが、やはり堕落した時代における初代の復活が何より輝かしいのだ。

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